2014年8月5日火曜日

諜報とビジネス・インテリジェンスの関係

データアナリティクス事業部でリアルタイム分析の分野を担当している新村です。

私は、学生時代に安全保障(National Security)を研究していたことから、入社当時は、インテリジェンスと言えば「諜報」をイメージしたものですが、情報系のシステムエンジニアとして職歴を重ねているうちに、インテリジェンスと言えば「BIツール」をイメージするIT業界人にすっかり変貌を遂げました。「諜報」と「BIツール」というと、全然畑違いに思えるのですが、実はそう的外れなものでもありません。

ビジネス・インテリジェンスという概念は、その昔、コンペティティブ・インテリジェンスとも言われており、その発想は、アメリカ中央情報局(CIA: Central Intelligence Agency)の対外諜報活動のモデルを、モトローラ社CEOを務めたロバート・カルバンとCIAのジャン・へリングが、1990年代中頃にビジネス界に取り入れたものと言われています。

対外諜報活動というと、映画『007』や『ミッション・イン・ポッシブル』というような、敵地に潜入して華々しい銃撃戦を繰り広げるようなイメージがあるかもしれません。しかし、現実の対外諜報活動は、対象国のニュースや公式発表、電波傍受の結果や衛星写真から、対象国の動向を分析してインテリジェンスを作り、未来を予想するといった内容がほとんどです(すべてと言っても過言ではありません)。そして、これらインテリジェンスに基づいて、行政府や立法府は適切な安全保障政策を立案・実行しています。

カルバンとヘリングがビジネスに持ち込んだインテリジェンスの概念で有名なものに「インテリジェンス・サイクル」(下図)があります。



インテリジェンス・サイクルがそれまでの企業の情報活用と大きく異なった点について、北岡元政策研究大学院大学教授は著書『ビジネス・インテリジェンス―未来を予想するシナリオ分析の技法』の中で以下のように紹介しています。

「その瞬間のスナップ・ショット」というインフォメーションを重視したマーケット・リサーチに対抗して、CI(新村注: Competitive Intelligence)の専門家が目指したのは、時間の流れの中でマーケットの変化を抽出し、さらにその延長線上にある未来を予測することで、企業のマネジメントが戦略を立案・執行しやすくする知識を作ることだったのだ。

インテリジェンスというのは、インフォメーションを収集し、そのインフォメーションが「なぜ」生まれたのかその文脈を分析することで、将来の意思決定に役立てようとするものです。

冒頭のBIツールは、過去と現在の情報を体系立てて管理し、推移や内訳から原因を特定するために使うためのツールです。最近ではソーシャルネットワークやログを使って、その原因の背景までも機械の力で把握することが可能になってきました。インテリジェンス・サイクルでいうところの① Planning and Direction から④ Analysis and Productionに該当する部分です。

IT系の著作が多い米国の作家ニコラス・カーが『ITにお金を使うのは、もうおやめなさい』で指摘しているように、BIツールに代表される分析ツールがコモディティ化している時代にあっては、生産されたインテリジェンスが適切に⑤ Dissemination(宣伝、普及)されて、これが適切にアクションにつながることが益々重要になっているといえます。

0 件のコメント:

コメントを投稿