2014年10月15日水曜日

技術者から見たオムニチャネル

データアナリティクス事業部でリアルタイム分析系を担当している新村です。


前回の記事のようにソフトウェアの導入もやっていますが、私はテクニカルエバンジェリストという肩書きを持っていますので、今回はビジネスの側面からお客様のビジネス目標を達成するための技術を紹介(エバンジェリスト=宣教師なので布教活動?)していきたいと思います。


IT部門の永遠のテーマとも言える売上への貢献ですが、景気が回復してきたこともあって再びプライオリティが高まっています。(参考: ITRが「IT投資動向調査2014」の結果を発表 - ITR)

この売上貢献をいかに実現するのかという話ですが、最近ではオムニチャネルという言葉をよく聞きます。今年の米Salesforce社のカンファレンスでは、ベニオフCEOのスピーチに米Omnicom Digital社のジョナサン・ネルソンCEOが登壇して、"to deliver the right message/right person/right time across the right devices"(意訳:適切な情報を欲している人に、欲しているタイミングで正しいデバイスを通じて届ける)といった発言をしています。

IT部門側から見たオムニチャネルとは、異なるプラットフォーム(店頭、ウェブ、メール、コールセンター、アプリなど)の情報を統合管理して、あらゆるチャネルからアクセスしている顧客に最適なサービスを提供するといったものだと理解しています。エンタープライズシステムは、時代に応じて個別にシステムが構築されがちなので、この情報統合・活用が実現できれば、他社に対して大きなアドバンテージになるのはよく分かる話です。

このオムニチャネルですが、アジアとヨーロッパで展開している、ある携帯電話キャリアは今から10年近く前に、このオムニチャネルのプラットフォームを、インメモリデータグリッド、そして複合イベント処理(CEP)を使って実現しています。

このキャリアでは、顧客の利用する携帯電話の通話記録、メール、ウェブ、位置情報などをそれぞれのシステムで管理しています。これをJavaのフレームワーク"Apache Camel"(参考: 日本Apache Camelユーザ会)を使ってデータを加工・ルーティングさせることで、KVSのインメモリデータグリッドにストアさせる一方で、CEPにトランザクションを転送して、各システムで発生するトランザクションを関連づけながら分析を実現させています。そして、この分析結果を使ってパーソナライズドされたオファーメールを通知しています。



たとえば、とあるエリアで別のキャリアがキャンペーンを始めた場合、そのエリアにいる顧客(位置情報)で、契約満了を迎える顧客(顧客情報)に対して、利用形態に合わせた(インメモリデータグリッドに利用実績を集計して蓄積)最適なプランを、顧客が携帯電話を手にしているタイミング(通話等の記録)で、メール通知するといったイメージです。

この仕組みは、各業務システムはそのままにバックグラウンドでリアルタイム連携させることで、同社におけるメールマーケティングのコンバージョンレート(メールを配信して反応を返してくれる率)が10倍以上向上し、売上を増加させることに成功しました。

データモデルが異なる各システムをリアルタイムに連携させることは、SOAに見られるように、古くから有効性は示されていたのですが、重厚長大でリスクの高いものでした。しかし、あらゆるデータが格納可能なインメモリデータグリッドとリアルタイムな分析が可能なCEPを使うことで、各システムをリアルタイムに連携させてオムニチャネルの仕組みが構築できることをこの事例では教えてくれているといえます。

0 件のコメント:

コメントを投稿