2014年12月10日水曜日

リアルタイムマーケティング “Real-time , Right-time”

データアナリティクス事業部の野村です。




「卒啄同時」という言葉がある。
ひな鳥が卵からかえろうとする時、内側からつつくのを「卒(啐)」、親鳥が外からつつくのを「啄」と言い、そのタイミングが合わないとひな鳥は生まれることはできない、ということ。
拡大解釈すると、タイミングだけでなく、つつく場所や力加減を間違うと-力が弱ければ殻を破れないし、力が過ぎると親鳥のくちばしでひな鳥を傷つけてしまう。

これは、先代社長が突然「マーケティング部やれ」とエンジニアに命じ、数多の「これなら分かる」本を読破するもののさっぱり「マ」の字も理解できない私が、苦しんだ挙句、当時の師匠に「マーケティングとは何ぞや」と問うた時にいただいたもの。

マーケティングミックスの4P も良いけれど、これは売り手側の論理。ちょうどお客様にシステム提案をする度に「これは提案ではなく、御社の売りたいのモノの説明ですな」と言われ茫然自失だった私には、それこそ良いタイミングで本質を教えてもらったような気がした。

そのずっと前、先々代社長がよく魚屋の話をしていた。
「斉藤さん、今日良い鯛が入ってるよ、太郎君の合格祝いにどうだい!」
魚屋のオヤジが通りがかった斉藤さんに声をかけるシーン。
オヤジが斉藤さんという顧客の嗜好や家族構成等の属性とそのシチュエーションを知っていないと言えない一言で、これがOne to One マーケティングの基本なんだよ、と。
Don Peppers とMartha Rogers の「The ONE TO ONE Future」を小脇に抱えているコンサルタントがいた時期なので、調べてみると1995年から98年あたり、20年前の話ですね。

財布の中が会員カードだらけになり、POSレジも普及して、コンシューマECも勃興期、企業内ではDWHやらCRMが話題になっていた頃で、ITによるリコメンデーションはこの頃から始まった。

今、One to One マーケティング は「Rebuilding(再構築)」の時期に来ているという。
基本的な考え方は変わらないけれども、顧客を知る方法が静的な属性と購買履歴だけでなく、ソーシャルデータやセンサーを使った行動履歴になり、「これを買った」ではなく「店に来たけど買わなかった」客とか、「こんなこと言っている」とか、顧客のインサイトを分析して、需要を喚起しようというもの。でも、これって本当に難しい。Watson 君なら答えを導き出してくれるかもしれないけど。

また、顧客へのコンタクトがDM、PC からスマホに代表される常時身に付けるデバイスに変わったということも大きい。オムニチャネル戦略ってモバイルありきだもんね。

もう一つ、冒頭の言葉を思い出させてくれたのが、トルコの携帯電話のリテンションマーケティングの、ものすごくシンプルで「目から鱗」の話。

いわゆるSIMフリーのプリペイド携帯電話のユーザに通話残高が少なくなると追加購入を促すメールを送っているのだが、メールを送るタイミングを、残高が一定以下になった通話の直後にしたらコンバージョン率が10倍になりました、というもの。
この「通話の直後」というのがミソで、通話終了後利用者が携帯電話をポケットに入れるまでの数秒間の間にメールを通知する。10秒後だと携帯電話はポケットに入っていて、以降はすべて「スパム」メールになってしまう。

要は難しい分析なんかしなくても(少々暴言ですが)、正しいタイミングで、リアルタイムにコトを起こせば、大きな変化が現れるということ。
前述のトルコのキャリア会社は、これをやるために、当時金融取引で使われていた超高速のエンジンを流用した。ITの使い方も知恵次第ということだろう。

当時の師匠が言っていたもう一つの例え。
コカ・コーラが大好きな人にペプシコーラを売る一番簡単な方法。おなかたぷたぷの時にコカ・コーラを差し出しても口をつけないけど、炎天下でのテニスを終えコートを出た汗だくの彼は、目の前にある200円のペプシを躊躇なく飲み干す。正に、リアルタイム・ライトタイムである。



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